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涼くんとのハチマキ交換に浮かれていたのも束の間、


『紅いハチマキで嫉妬を煽れ』


なんて司令とともに頼くんから紅いハチマキを巻かれたあの体育祭から早くも2週間が経ち、


気付けば夏の終わり。


外を歩けばカラッと乾いた秋の匂いがして、あぁ、この感じ久しぶりだなぁって思う。



肝心な涼くんからは『あれ?紅いハチマキ?』って突っ込まれはしたものの、これといって嫉妬心を煽っているような気配はなく。


むしろ『もう何組か分かんないね』なんて楽しそうに笑われてしまった。



……拝啓、頼くん。
やっぱり私ごときでは涼くんにヤキモチなんて妬いてもらえそうにありません。




「にしてもこれ……、今回まじでやばいかも」





放課後、私の部屋でテーブルを挟んで向かい合わせに座っている美和子ちゃんと一緒に英語のワークを広げながら弱音をポツリと呟けば、



「……基本の文法が頭に入ってないから解けないのよ、花は」



すぐに美和子ちゃんの呆れたようなため息と言葉が鼓膜を震わせた。