誰も居ない視聴覚室には、わたしとこの学園王子の二人だけしかいない。



『お前、耳まで真っ赤。可愛すぎ』


『ちょっ、ちょっと!!からかわないでくださいっ……、』



反論すらも素通りして、王子の長い骨ばった指は、熱くなったわたしの頬に微かに触れた。



『待たない。オレ、どれだけ我慢すればいんだよ?』



なんて……問いかけると、唇を吊り上げて意地悪に微笑む王子様の顔が、動けずにいる私へジリジリと距離を詰めてくる。


ドキンッ、ドキンッと高鳴る鼓動がやけに響いてうるさくて。


唇と唇が触れそうになるから、胸がドキドキの悲鳴をさらにあげるんだ。


あ……わたし、キス……されるかも……。


ゆっくりと目を閉じた瞬間ーーー。