「ん…っ?」


あれ…私寝てた…?


今何時…?


時間を見ようと、携帯を探していると、私は気づいてしまった。


ポロポロと頬を伝ってベッドへと落ちていくその雫に。


なんで…っ。


ベッドには大きなシミが出来ていて。


それを見る限り、寝ている時から泣いていたことがわかる。


だけど…私はどうして泣いているのっ?


考えている間にも、涙は止まらず出てきて。


それがもっと私を悲しくさせた。


だって泣いている理由がわからないから。


だけど1つわかるのは、胸が締め付けられるほど悲しくて苦しいってことで。


記憶を失う前の私もきっと、こんな思いをしていたんだ。


だから私は…記憶を手放した。