...その夜、ついにそのときが来た。


雨もおさまって、空には昼間の様子とうって変わって晴れ晴れとした空に星が輝いていた。


「さくら。」


自分の部屋に戻るために、階段を上がろうとした瞬間、亮樹兄ちゃんに呼び止められた。


さっき帰ってきたばっかりの亮樹兄ちゃんは、いつのまにかに着替えを済ませ、リビングのソファーに座っている。


心臓がドクッと飛び上がる。そして、狂ったように動き出す。


「な、なに?」


平然をよそおうとすると、どうしてか不自然になる。


あたしは、飛び上がる心臓を押さえながら亮樹兄ちゃんの隣に座った。