好きか?、と聞かれたら分からない。
ただ、この先、巧よりも良い男や気を許せる男、ましてやサポートして支えたいと思う男には出会えないと思っていたんだ。

「おはようございます!」

会社に入ってすぐに、大声で挨拶をしてきた。

ガッチガチに緊張したハムスターみたいな社員に。

「おはよう。元気なのは大切だけど、大声と怒鳴り声は違うんだけど?」
会社に到着して最初に会話しなきゃいけないのが、このコネ入社のお馬鹿さんだと思うと朝から不快だった。
「少しはうちの社らしい振る舞いになったの?」

「は、はい! 何着か通勤用にスーツとかも」
「内面も大事だからね? 本当に私が勤める秘書室に来たいなら英語ぐらいはなんとかしなさいよ」