会社におばあさまと戻ると、ある大きな事件が終わっていた。
私の携帯に連絡が来ていないので、私にはその事件が知らされていなかったのだ。

会社のホールに入ったすぐに、立花さんが飛んできた。

「英田さん、大変です!」
「立花さん、栄子おばあさまの前で落ち着きのない――」

「栄子さんが来てるなら話が早いです!」
立花さんが、栄子おばあさまを見て、ほっとしている。

「……一体何?」

「ブッキングです。今、メインバンクの花園銀行の取締役代表花園様と、旅行代理店代表取締役三条様が社長とランチを一緒にする予定だったとかでお見えになられていて」

「そんな予定、今日は無かったわよね?」

スケジュールはきちんと朝確認していたはず。
しかも二人は、栄子おばあさまが大学で教えていたお二人で、お互い競い合っていて対抗意識が強く、仲もそんなに良くないはずだ。

「花園様は昨日の出張時に、三条様は今日連絡があったらしいんですが、秘書課にまで連絡が回って来なかったみたいで」

「そんなはずないでしょ!」

そう思ってハッと受付からの視線に気づいてそちらを見た。

「……貴方達何か知っているの?」