もう教師もいない夜の学校。校門の前に二人の女子生徒がいた。

「話って……何?」

少女は犯人に近づく。

「死んでほしいの」

少女は目を大きく見開く。逃げようとするが、怖くて動けない。助けを求める声も出ない。少女は地面にへたりこみ、犯人の顔を見上げる。

犯人はナイフを少女の前に出す。月明かりにナイフが不気味に光る。

「ひっ……!」

ナイフを見せられで殺される゙ということを理解した。しかし、分かっていても体が動かない。逃げる足もすくんで動かない。何もできない。

「はは、今まで君は女王ぶっていたのに。殺されるとなると動けないのか。助けて下さいお願いします、って靴を舐めながら言ってくれたら、助けてあげようかな?」

「……!」

助けてほしい。
しかし、その条件は少女にとって屈辱的なものだった。

「かっ……」

犯人は少女を刺した。一度だけではない。何度も、何度も。気が狂うほどに。

「……ふん。女王もこんなものか」

犯人はもう動かない少女をみていた。作品を鑑賞するかのように。

「タイトル、真紅に染まりし乙女」


そう犯人が言うと、笑いながら闇の中に消えていった。

後の供述で、犯人は「美しい少女を永遠に残る作品にしたかった」と供述している。


少女が見つかったのは、一時間後。塾帰りの小学生によって発見された。