下足箱のある玄関の前まで来たとき、先生は職員室へ玄関の鍵を取りに行くと言い、私を残して行った。

1人になった私は下足箱にある自分のスニーカーと内ばきを履き替えていた。
ガラス越しに見える景色はただ、遠くに点々と街灯の明かりが見えるだけで辺り一面真っ暗な世界だ。その景色を私は先生が来るまでただぼんやりと見ていた。


しばらく待っていると先生が現れた。左手には鍵を持っている。やっぱり、毎日玄関の鍵当番をしているだけあって相変わらず器用な手先で簡単に先生は鍵を開ける。

「じゃあ、先に駐車場行っててか。今、鍵返しに行ってくるから」

先生は私にそう言ってまた、職員室へ戻って行った。