あれから数週間。 夏休みに入った。 私の夏休みの始まりは病室だ。 「鈴翔。暇なんだけど」 「しょうがないだろ。 ほら、リンゴ」 「脱走してもすぐに鈴翔に捕まるし。 てかなんで夜の病院にいるのさ」 「ここの病院、俺の兄貴がやってるから。 泊まれる」 最悪だ。 ほんっとうに最悪だ。 「鈴華、退院したら海行くぞ」 「なんで海…。 人多いじゃん」 「次は貸し切りだ。 夏と言えば海だろ」 …そうなの?