『ごめんっ。またね』


言い逃げるように、家の中へ入ったサクラ。



くっそ……。


なんかモヤモヤする……。



「奏、くん…?」


あ、やべ……。


隣にアキがいること忘れてた。


「どうかした?」


俺の服の裾を掴んでいた手が、ギュっと強くなったのを感じた。



「奏くんは、その……あの子のこと、好きなの?」


は!?


「え、あの子ってサクラのこと?」


「う、うん……ってごめん。変なこと聞いちゃった」


アキはただただ俯いた。


俺は手を、アキの頭にポンっと置いた。


「なーに言ってんだよ。俺はアキと付き合ってるんじゃん」


そう言うと、アキは俯いたまま顔を赤くした。



「う、うんっ…。そうだよねっ」


「あいつは、ただの幼なじみだよ」


「……ほんと?」


「なに、アキちゃん。ヤキモチですか」


「なっ……」


バッ、と突然顔を上げたアキ。


うわ……。


「顔真っ赤…」


そう呟くと、アキは更に顔を赤くして、顔を逸らした。




「そろそろ遅いし、送ってくよ」


「え、そんなの悪いよ」