「――なんと甘ったるい……」



 今朝の顛末を話したら、いつも武人らしく凛としているメリーが、珍しくむずがゆそうな表情でそんなことを言った。



「メリー、あなた正直ね」


「いや、失礼。陛下との距離が縮まられたようで何よりです」



 こほん、とひとつ咳払いをして、ついこぼれ出てしまった本音を恥じるように、メリーはわずかに顔を赤くして目をそらした。



「メリーは普段は武人然としていますけど、こう見えて意外に乙女なので、そういう話には弱いんですよ」



 ほくほく笑って言うのはカインだ。


メリーの鋭い眼光に睨まれても、まったくひるむ様子がない。



「それで、リーラ様は今夜こそ夜這いを決行されるんですね」


「カイン! 夜這いじゃないったら!」



 軽口をたたくカインを、メリーの真似をして睨みつけてみる。


けれど武人であるメリーの眼光にすらひるまないカインだ。


リーラが睨んだところで、ほくほくした笑みは変わらない。