物音を聞いた気がして、リーラは目を覚ました。



 二日前、神殿へ行ったその日、レグナムは忙しいのか、リーラの部屋に来なかった。


昨日の昼を過ぎても現れなかったので、リーラはレグナムを探しに行くことにしたのだ。


だが、王宮のどこを歩き回っても見つからず、結局疲れてしまってすこしばかり早く寝ることにしたのだ。



 それが祟ってか、妙に目がさえていた。


はっきりとは覚えていないが、目覚める前に、かすかな物音を聞いた気がしている。


けれどしばらく身を起さずにじっと耳を澄ませても、何の音もしなかった。



 窓の外は暗いけれど薄明るい。


夜が明けようとする、ほんのすこし前の空。


こんな時刻に誰も歩き回ってなどいないだろうし、きっと夢でも見たのだろう。


そう思って、のどが渇いていることに気が付いた。




 目を上げると、寝台のそばに置かれた小さなテーブルに、クロエが用意してくれた水差しとグラスがあるのが見えた。


水を飲むため起き上がろうとしたそのとき、コツ、と小さな音が耳に届いて、リーラは動きを止めた。