「俺を誘ってるの?」


と聞いた。


彼女は俺の左手の薬指を見て


「それ、あなたを縛る指輪ね」


と笑った。


「別に縛れてない」


と俺は答えた。


「なら、ついて来て」


と彼女は囁いた。


「どこへ?」


「二人きりになれる場所」


と彼女はウィンクをした。


ただならぬフェロモンを出す彼女の誘惑に俺は負けた。



「マスター」


と言って俺は二人分の勘定をすませ彼女とバーを出た。


夜のネオン街。


彼女は俺の腕にぶら下がるように歩いた。



「私、あそこに泊まってるの」


とシティーホテルを指さした。