姫花が姿を消し、5年目を迎えた

りんは自分のマンションを引き払い、大倉家でガクと同棲していた

ふたりの中では婚約をしていたが、姫花がいない現状の中で籍を入れることがどうしてもできないでいた

ガクは自分が家を空けていた間に姫花が姿を消したことを今でも気に留めており、いつ姫花が帰ってきても家に灯りが灯っているようにしたかったのだ
最近では、演じる側から制作側に重点を置き、ゆくゆくは監督業を目指していた

そんな二人に対し、大吾と咲は籍をいれ、夫婦になっていた

このカップルにとって、姫花がいなければ付き合うこともなかったので、姫花に祝福してもらいたかったのだが、咲のお腹に二人の子どもが宿り、早急に籍をいれることになったのだった

咲は専属のファッション誌を卒業し、産休にはいり、モデル業は一時休業しているが、大吾がアイドル路線からうまく俳優業への鞍替えに成功していた

賢次は、アメリカでいくつかのオーディションに通り、最近は日本映画への凱旋出演が増えてきていた

龍馬は、相変わらず隣国におり、最近、冷静沈着な性格も手伝い、裏社会でもその頭角を現し始めていた

昨日と今日の生活に目にうつる変化はそんなにないけれど、5年という月日を経て、それぞれの生活は変化していったのだ

女で一つで子どもを産み、育てるという生活は姫花に周囲をみる余裕を持たせてはくれなかったが、愛息子が5歳になり、自分の世界を築きつつある中で、姫花もふと自分の人生について考える時間が増え、それに伴い、懐かしい友人達や故郷を思い出すことも増えていったのだった