ジョナサンに助けられてから、なぜか姫花はちょくちょくジョナサンと顔を合わせていた

マーサのカフェでだったり、道でだったり・・

それまで顔見知り程度だったのに、今では結構話をするようになっていた

レンも2歳になり、大人しくベビーカーに乗ることを嫌がり、姫花の手を煩わせていた

この日、ジョナサンの姉、エイミーと今では行き付けの店までできたモールに買い物に来ていた

もうすぐ、ハイスクールでダンスパーティーがあるので、その時に着るドレスを見立てて欲しいと頼まれたのだった

マーサも自分が行くよりも・・とレンを預かってくれたので、姫花はエイミーの申し出を快く引き受けた

今回限りのドレスなので、もちろん貸衣装

まばゆいものから、ハロウィン仕様の仮装ものまで幅広く取り扱っている店内は、高校生で溢れかえっていた

「すごい人だね・・」

人混みになれていない姫花の顔が引きつる

「みんな必死だから・・ 乗り遅れるとダッサイドレスしか残らなくなっちゃうもの」

とエイミーは苦笑い・・

「じゃあ、おばさん根性だして、頑張っちゃおっかな!」

と笑う姫花に

「おばさんって・・ どこが?」

とエイミーもその丸い大きな目で笑った

それから1時間・・・

「ないね・・・」

「・・・・・」

姫花の言葉にうなだれるエイミー

ごったがえす店内は、一人で何着もドレスを抱え、試着する長蛇の列

めぼしい衣装はみんな抱え込んだ腕の中

実際着るのはその中の1着なのだけど・・・