待ちに待った夏祭りの日。
浴衣は動きづらいし持っていないので、私服で頑張ることにした。
白いレースのジレに、カラフルなグラデーションのワンピース。
ベルトは金具がハートの形になっている。


地味かな?
じゃあネックレスをつけよう。丸いローズクォーツと金色の三日月がついている。ローズクォーツは恋愛運が上がるらしく、何かいいことがあればいいなと少しだけ期待する。


髪は下ろそう。櫛で念入りにとく。そして両サイドをヘアピンでとめる。


靴は履きなれたウェッジソールのサンダルだ。


楽しめますように。願いを込めて、ローズクォーツを手で包み込んだ。


「行ってきます」


「行ってらっしゃい。気を付けてね」


暗くなるまで遊ぶならお母さんもついて行く、と言われ、その前に帰るからついてこないで!と止めた。
お母さんは察したらしく、ちゃんと帰ってきてねと言った。


高校生だったら七時くらいまでなら大丈夫なのに。花火は一緒に見れないか……。残念だ。


今は四時。門限の六時まであと二時間ほど。
時間は有効に使わないと。何を買うか考えておこう。


外に出ると、浴衣を着た小学生たちがはしゃいでいる。
青空の上に薄く光を当てた感じの、黄色と水色が混ざった空。


もうすぐ橙色になる。
ギリギリの青空の下で、暗くならないでほしいと思った。