律儀に三重さんの元へ向かうと、昼休みの事について問い詰められた。今回は誘われたのを断らなかったということでかなり厳しくされた。


「もう二度と貴島君と話さないで。あんたみたいなダサい女と一緒にいたら貴島君が悪く思われちゃう」


そう言われ、貴島と話さないという契約書みたいなものまで書かされそうになる。でも、こういうのに名前を書いてはいけない。私はその場を誤魔化して無理やり帰った。


そんなことがあった次の日なので、学校に行きたくないと思った。でも、お母さんに心配かけたくないので俯きながら学校に向かっている。


「おはよう!」


昨日休んでいた友達の瑠歌が川をボートで下りながらあいさつした。ラジコンヘリを操縦して川のコイに餌をやっている。


「おはよう……ねえそれ普通にやった方が早くない?あとどうやって動いてんの?」


「ラジコンヘリを新しく買ってもらったから使いたいんだよ。動くのはとある執事さんに動かしていただいてるんだよ」


瑠歌は普通に言っているけど、瑠歌の家ってお金持ちだったっけ……?


「そこのお嬢さんたち!おはよう!」


声がした方を見ると、オレンジがパッカリと割れて中から陽気な男が出てきた。まさかのオレンジ太郎!?
驚いていると、瑠歌の乗っているボートからあの人が現れた。


「おはよう、早霜さん」


貴島だ。笑顔で手を振っている。今日は一体何なんだ!?


「このオレンジの人誰か知ってる?」


「ああ、ベルナルドのこと?イタリアの友達なんだ」


「ベルナルド・カプアだ!よろしく!」


日本語を自然に話しているから、何年も前から日本にいたのかな?ベルナルドはオレンジからボートに移ろうとした。


「えっベルナルドお前中学生なのか!?」


瑠歌が驚いた。同じく私もえっ!?と思った。髭も生えていて、背が高いので分からなかった。オレンジから出てきた時に、うちの中学校の制服のズボンが見えてやっと中学生だとわかった。


「僕と同じ転校生なんだけど、いろいろあって昨日は来れなかったらしいんだ」


オレンジをボートに載せながら貴島が言った。そして、腕時計を見た。


「大変だ!このままでは遅刻してしまう!早霜さん、ボートに!」


「えっいいの!?」


遅刻は嫌なのでボートに乗る。


「爺や!」


「はい坊ちゃま、スピード上げますぞ」


瑠歌が言っていた執事とはあの人の事か……実はこのくらいから記憶が途切れている。