相変わらず、料理だけは豪華なものだった。


食べたことがないような高級食材ばかりが選ばれている。


次のバトルで死ぬ生徒にとっては最後の晩餐になるからだろう。


あたしはパンを食べ終えると大きく深呼吸をした。


次は誰と誰のバトルになるのか。


緊張が高まる。


ほとんどの生徒が朝食を終えたのを見計らって、再び男がステージ上に現れた。


心臓がドクンッと大きく跳ねる。


男は生徒たちをなめまわすように見回し、そして口を開いた。


「さぁ、今日最初のバトル相手の発表だ!!」


昨日にも増して大きな声でそう言うと、部屋の両端に立っている男たちが盛大な拍手を送る。


そして、ついに戦う2人が発表された。


「久山梨穂!VS久本亜弥!」


名前を呼ばれた2人がほぼ同時に悲鳴を上げた。


梨穂ちゃんはクラスカースト上位者だけれど、いつもメンバーの後ろについて歩くような子だ。


偶然カースト上位に気に入られたというだけで、梨穂ちゃん自身が目立っているわけではない。


一方の亜弥ちゃんは典型的なイジメられっ子。


腰まで伸ばした髪を三つ編みにして、休憩時間にはいつも1人で漫画を読んでいる。


「梨穂、負けるなよ!」


同じメンバーの1人が梨穂ちゃんの背中を強く叩いている。