朝が来ても、現実は変わらなかった。


あたしの隣では彩美が小さな寝息を立てている。


昨日は遅くまで眠れない様子だったけれど、少しは眠れたみたいだ。


あたしも、思っていたよりは眠ることができた。


上半身を起こして大きく伸びをする。


全く眠れていない生徒たちも多くいるようで、あちこちから泣き声が聞こえてきている。


あたしは彩美を起こさないように立ち上がり、体育館倉庫へと向かった。


ドアの前で立ちどまりノックをする。


中から返事がないのを確認してからドアを開けた……その瞬間、目の前に制服姿の男女が横たわっているのが目に入った。


一瞬眠っているのかと思うような体勢で、寄り添っている。


ただ、眠っているのではないとすぐに気がついたのは彼らの手首から血が流れ出していたからだった。


どす黒い血が床一面に広がっている。


「どうしたの?」


ドアの前で棒立ちになっているあたしに、3年生の女子生徒が声をかけて来た。


「これ……」


あたしは茫然としたまま死体を指さす。