体育館に集まった2年A組を取り囲むようにして、全校生徒が集まっていた。


ぐるりと円状になった中央にあたしたちは立っている。


ついさっき黒いスーツの男が発した言葉を思い出していた。


『まずは2年A組の全員にゲームに参加してもらう事にする。2年A組の生徒は体育館の中央に集まるように』


その言葉に素直に従う生徒はいなかった。


混乱とざわめき、そしてほんの少しの好奇心が体育館の中に漂っていた。


奴隷部屋と違い、体育館の中には日常と秩序が存在していた。


『とにかく、中央に移動しようか』


そう言ったのは吉本良介(ヨシモト リョウスケ)君だった。


あたしがチケットを渡した1人。


一番真面目で、あたしの親友である守田彩美(モリタ アヤミ)と成績トップを争っている男子生徒。


『そうしようか』


教師がどこにもいなくてどうしていいのかわからない中、みんなが吉本君の言葉を合図にぞろぞろと移動を始めた。


『ねぇ朱里、なんだか外が暗くない?』


彩美があたしにそう聞いて来た。


ようやく、体育館の外が封鎖されていることにきがついたようだ。


『そうだね……』


あたしは小さく返事をした。