ケータイ小説 野いちご

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ありったけの嘘、とっておきの愛。

どうして⁈

「本日の施術はこれで終了です。お疲れ様でした」


お客様のデコルテに塗っていた、レモングラスが程よく香っているマッサージクリームを拭き取り、身体に掛けていたラベンダー色のタオルを優しく外す。

ピカピカに磨き上げられたフェイスとボディは、来店時よりも血色もよく透明感が出て、艶めきを放っている。

そんな自分を鏡越しに眺めたお客様が、うっとりしながら決まって口にする言葉は、私の仕事へのやりがいを実感させてくれる魔法の台詞だ。


「まるで肌が生まれ変わったみたい。ボディラインもスッキリしてるし。やっぱり、他とは仕上がりが違うわね。大満足よ。凄くイイわ」

「ありがとうございます」


はい。
今日も最高の褒め言葉をいただきました!


鏡の中に映る、自らの姿に見入っているお客様に向かい、笑顔で答えながら外したタオルを畳んでいる私も、どことなく自慢気な気分になり、心の中ではガッツポーズをしている。


桜ヶ丘駅の北口には、オフィスビルやタワーマンション等が所狭しと建ち並んでいる。
そして、反対側の南口周辺は整備され、住人達の憩いの場になる様にとの狙いなのだろう。

近頃は木々や花々が植樹されたり、歩道脇にベンチが設置されたりして。
飲食店や娯楽施設等がひしめく複合施設であるビルも、そんな風景に溶け込むような色合いで装飾され、仲良く並んでいる。

休日ともなれば、他県から多くのお客様が訪れる我が社は、35階建ての高層ビルの一室に店を構えていた。


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