どこにでもありそうな町の、どこにでもありそうな高校。
教室に響くのは、教科書を読み上げる生徒の声と、扇風機の音。


生徒が文章を読み終えると教師が次の音読者を指名する。

「では次、藤村、2行目から。」

……

「…藤村。」

……

「藤村きつね!!!!」

「……んん~…」

「はぁ…もう結構、中谷くん読みなさい。」


主人公の名前は、藤村きつね。
ごく普通の高校生。