そして――狼の家に住むようになってから一週間が過ぎた。


この一週間で、私は多くのことが分かるようになってきた。


たとえば、不浄といわれるこの森だが、朝は鳥のさえずりが聞こえてとてもさわやかであること。


最初はこの薄暗さが不気味だと思っていたけれど、今ではむしろ明るすぎなくて落ち着くとすら感じるようになったこと。


ここでの時間はとてものんびりと過ぎていき、街にいた時のようにせかせかしていないのがとても気楽であること。



そして、私は狼のことが――多分、好きなんだってこと。


恋愛に疎い私は、話を聞いてもらってキスをされただけで、好きになってしまったんだってこと。