「はあ…はあ…」



走って、走って。



ひたすら両腕を振り続けて、足を動かしてどこかに宛もあるわけでもなくわたしはただ、ただ走り続けた。



車の多い大通りから田んぼと田んぼの小道まで。



最初、急に走り出したわたしを追いかけて来てくれた部員ももう息遣いも足音も聞こえない。



今まで何人の人とすれ違ったのかもわからない。



1人でこんな大きく背中に4と背番号が書かれたユニフォーム姿で走ることにも構わないくらいどこかに逃げ出したかった。



息切れしてどんなに辛くたっていい。



このまま走り続けて倒れてしまってもいい。



とにかく、あの瞬間を忘れてしまいたかった。