緊急事態だー!


だっ、誰か助けて!!



好きになっちゃうよ......




その時、野獣が来た














『バァァン!』




花子「えっ······?」



樹「宗、そんなに強く開けたら駄目
だって言ったじゃん。ここ、古い
んだから」




そっ、そいうこと!?



というか、この手を退けてくれないと、大変なことになる〜!!!





宗「おい、俺のものになにしてん
だ?」



そう言って、私の手を掴んで片手で抱き寄せた



樹「嫌がってるよ?」



宗「はぁ?俺様に抱きしめられて、
嫌がる女なんていないから」


樹「そうなの?」


そう言って、樹さんは、屈んで私の顔を覗いた



花子「···············」



樹「おいで」



その時の樹さんは、絵本から出て来た王子様のようにキラキラしていて





一瞬で恋に落ちた








でも、私には、抱き着く勇気なんて無くて、後ろに隠れる位しか出来なかった





宗「てめぇ!」


樹「悪いけど、この子には、乗馬部
と陶芸部、掛け持ちしてもらう
から」



宗「それは、誰の了承を貰ったんだ
うちは、顧問、副顧問、部長。
それと、生徒会長の印を貰わな
いと駄目なことくらい、知って
るだろ?」



樹「了承とかじゃなくて、本人の気
持ちでしょ?



宗『ギロッ』



怖いよ〜!幾ら何でも、それはズルイ!



でも、ここで引き下がったら、絶対に損する!!



花子「わっ、私は!陶芸部にも、入
りたいです······」



宗「......そうか」


あれ?何もして来ない......?























宗「入部届けを出したら、家まで送る。
話したいことがある。」





花子「はい······」



結局、何もせずに去って行った





その背中は、凡人の私には、とても輝いて見えた