好きな人から思ってもいなかった告白を受けた

でもそれはとてもわかりづらくて

昨日家に帰ってから何回も考えたけど
やっぱり現実には思えなかった

〈なんか失恋するのが当たり前に
なっちゃってるからかな?

月曜日にテストが迫った土曜日

テスト勉強もやらなきゃいけないのに
部活も出なきゃいけない

あたしが昨日の事を受け止められないのは
あんな事を言ってきた茅野さんが
至って普通で、怖かった事だった

茅野さんは大声を出して怒る人ではない

コートにいる時もコート外であっても
目で殺すタイプの人

とても静かに怒るのだ

中学から茅野さんを知ってるあたしは
何をすれば怒られないかわかってるつもり
だったけど、それでもやっぱり怖いの怖い

で、もって他の先輩らよりも群を抜いている
元々センスのある人だから

後々になって気づいた事だけど
茅野さんにはファンがいる

あたしは達1年はまだコートに立つ事が
出来ないので周りをよく見てる

茅野さんがシュートを決めるたんびに
控えめな声援が飛ぶんだ

茅野さんはこの高校でも有名な人だった


先輩らが練習終えて、コート外に戻ってくる
あたし達1年はタオルを渡したり
飲み物を渡したりしなければならない

そして先輩らが休んでいる間にコートに
モップをかける

あたしが一生懸命モップをかけていると
頭をガッチリホールドされる

びっくりしてそのまま上を向くと
立っていたのは白石さんだった

涼ちゃん〜暇そうだなw

白石さんとは片瀬さんの一件から
仲良くなれたけど、今は部活中で
たとえ男バスでも先輩でもある
白石さんとにこやかに喋るなんて
出来る訳がない
あたしは頭を掴まれたままモップをかける

白石さんは頭をガッチリホールドしたまま
今度は首までホールドしてきた

さすがに苦しいので、腕を叩いてタップする

そのまま肩を抱かれる

俺らとちょっと遊ぼうや!

白石さんはあたしをそのまま男子コートに
連れていこうとする

たいち!!

普段あまり大きな声を出さない茅野さんが
走って駆け寄ってきた

いきなりなんなの?!

俺の練習に付き合ってもらうだけだよ!

別にこの子じゃなくてもいいでしょ?

茅野さんは部活中、あたしを名前で呼ばない

真山さんかあなたかあなた達、
で、今はこの子扱い

〈そういや、いつから名前で呼ばれる
ようになったんだっけ?

あたしは茅野さんと言い合いする
白石さんに肩を抱かれながら
コートの白線をずっと見ていた

〈どうでもいいけど早く離してくんないかな

で、いいよな?
急に白石さんに言われる

えっ?

話聞いてたのか?

あ、いや‥

あたしは思わず茅野さんを見る

茅野さんは無表情のままだった

とりあえずメンバー決めてよ!

白石さんにそう言われた茅野さんは
先輩達の元に行き、新谷さんを連れてきた

で?
茅野さんは冷たく白石さんに言う

俺は涼とすぐるんで組むわ!

芽衣はりっちゃんとうちのエースの
春樹で組んでよ

何それ?何でその子がそっちな訳?

均等だろ?
女子の次期部長でエースの芽衣と
副部長のりっちゃん
で、男子の次期部長でエースだぜ?

こっちは引退間近の俺とコートにも
立っていない涼ちゃんに
俺の手下のすぐるん

まさか負けるのが怖いとかないわな?

なんで白石さんがこんなに茅野さんを
挑発しているのかわからないけど
とにかくあたしに断る権限はないようだ

〈この子の次はその子だって‥笑える
つか、すぐるんさん手下とか‥



卒業前にさ、1回涼ちゃんと遊んで
見たかったんだよね

白石さんはそう言いながらアップを始める

コート上に立つ白石さんは片瀬さんと
いる時とは比べ物にならないくらい
威圧感がある人だった

だったらあたしは茅野さん側の方が
よかったんじゃないですか?

あたしはバッシュの紐を括り直しながら
白石さんに聞く

それじゃあ面白くないだろ?w
ずっと負けっぱなしのままいるのか?

多分白石さんは片瀬さんが見学に来てた
試合の話をしてる

今はとにかく無性に体を動かしたいし
先輩達の言う事は絶対だし

〈なんでこんなにイライラするんだろ?

首にかけていたタオルを頭に巻く

男バスの方から冷やかしの指笛が聞こえる

たとえ遊びであってもコートに
立てるのは気分がいい

とにかく暴れたい気分だった