まさかのいきなり過ぎて自分でも驚いてる

こんなにいきなり人を好きになるとか

しかも相手は勿論同性だけど、でも
茅野さんは中学の時のバスケ部の先輩で
というか、あたしが中1の頃からだから
現在高1のあたしとまる3年ってとこで

ちょうど今の時期に仮入部したんだよな
今までなんとも思わなかったのに

確かに美人だし、スタイルもいいし



高校生になったあたしは中学から
続けていたバスケを部活として
やっていく事に嫌気がさしていた


だってせっかくの高校生なのに
部活に追われて恋も出来ないなんて
好きな相手もいないのにそういう心配だけ
してしまうんだ、だから

そう思って、部活見学の案内を
連絡してくれた茅野さんのLINEを
スルーしたのに、そしたら
怒ると凄く怖い元女子バスケ部の
部長こと茅野芽衣様に〈かやのめい
教室に乗り込まれて怒られて
強制的に約束させられて

学校の帰りに家に連れて行かれて
怒られるかとびくびくしてたら
あたしの事嫌いになった?とか聞かれて

それでそんな先輩を見てたら
急に可愛いって思い始めて、
そしたらなんか先輩の後ろに花が咲いてきて


〈あー待って!やっぱマヂ意味わかんね

なんであんなので急に好きになんの?
そりゃ今までLINEをちゃんと返してたのに
急にスルーされたら嫌われたとか思うだろ

〈あたしって馬鹿なの?


人を好きになる事が久しぶりのせいなのか

自分の感情のはずなのに頭は一向に
ついて来てくれなかった

しかも完璧に変に思われてる

いきなりの感情に気づいて顔を赤くした
あたしの頬を先輩は心配して触ってくれた

んであたしは馬鹿だから無意識に
その手に自分の手を重ねちゃったり

〈冷たくて気持ちいいってなんだよ!

で、結局そのまま帰って来てしまった

ベットの上に寝転がりながらあたしは
携帯を見る

先輩からLINEがきていた

またスルーすると怒られそうだし
とりあえず読む事にする

あたしの容体を心配するLINEだった

体調悪かったのにごめんね
体大丈夫?
顔凄く熱かったから熱あったのかも?
熱計った方がいいよ

あと無理矢理はよくないって
わかってるんだけど
やっぱりあたしは涼と一緒に
バスケしたいな


あたしは読み終えてすぐに返信する

いきなり帰ってしまってすみません
体は大丈夫です

誘って頂いてるのに申し訳ないのですが、
部活の件はもう少し考えさせて下さい

送信ボタンを押すとすぐに既読がつく

〈早いな‥

トーク画面を眺めていると
電話がなる、先輩からだった
せっかく静まってくれた心臓さんは
またも運動を始めてくれる

恐る恐る通話ボタンを押す

先輩は静かな声であたしの名前を呼ぶ

‥涼?
はい
大丈夫なの?
大丈夫ですよ
熱は?
いやないですよ
本当に?顔めっちゃ熱かったよ

その言葉にあたしは一呼吸おいて言う

先輩に久しぶりにあったから
緊張したんです

少し間が空いて先輩が答える

あたしも凄く緊張した‥
涼が凄く変わっててビックリした


えっ?変わってますか?
〈先輩でも緊張するんだ

変わってるよ!髪切ったでしょ?
それに凄く背も伸びてたし

あたしは中学時代ずっとロングにしていた
高校生になったのを機に
鬱陶しくなった髪をばっさり切ってやった

両親や友達には凄く不評だった
背も高くなって男みたいだと言われた

似合ってないですか?

ううん!凄く似合ってる
かっこいいよ

先輩にかっこいいと言われ
あたしは少しテンションが上がる

先輩は凄く綺麗ですよ

そんなお世辞も言えるように
なったんだね
やっぱり変わった

電話の向こう側で先輩が笑ってる

あたしが部活に入らないと
こんな電話も出来なくなるだろう

昔の後輩と今も後輩
比べるまでもない

先輩との電話を切った後
あたしはジャージに着替えて
アップを始める

卒業してからサボりがちになっていた
ランニングをするためだ

こうしてあたしの部活に入らず
高校生活を満喫する予定は
見事に終わりを告げて

次の日入部届けを手にバスケ部の
顧問の元へ向かいました

好きな人と一緒にいれるなら
部活に青春を捧げるのも悪くない
そう思った高1の春でした