いつもよりだいぶ早めに学校に到着したあたしは、正門を出ていく車を見送りながら、これからのことについて考え込んでしまった。

 いつ、どうやって、どんな風に、坂井君と話そうか。

 できればふたりでゆっくり話したいんだけれど、学校の中で誰にも邪魔されない空間なんかあったっけ?

 授業の合間の休みの時間で済むような、簡単な話じゃないし。

 昼休みはお弁当食べたり、係りの仕事や委員会の用事で意外と忙しいし、放課後はお母さんが車で迎えに来ちゃうし。

 となれば、いましかない。坂井君が学校に来たら逃さず速攻で捕まえて、どこかに連れ出して、話を聞いてもらうんだ。

 四組のロッカーの付近で彼を待ち構えながら右往左往しているうちに、どんどん緊張して心臓がドキドキしてくる。

 坂井君、どんな反応するだろう。きっと動揺するだろうな。

 内容が内容なだけに、バカなこと言うなって怒られたらどうしよう。反対に呆れられたらどうしよう。

 うまく説明できるかな? あたし順序立てて説明するの、すごく苦手なんだ。

 戻ってきた現国の答案用紙やレポートには、いつも必ず先生から『もっとわかりやすく要点をまとめましょう』って、赤ペンで書かれてる。