「…あ、」 移動教室で科学室に向かう途中、中庭のベンチで横になる彼を見つけた。 ふわりと柔らかくセットされた黒髪は、陽の光を浴びて少し茶色く透き通る。 伏せた目には羨ましいくらい長いまつげ。 あどけない寝顔に、思わず触れてしまいそうになった手を、慌てて引っ込めた。