「さぁ陛下。ここが貴女の城、影夜城でございます」


「…うっそ」


「嘘ではございません」



そして、着いたよ魔王城。


魔王に挑む勇者の気持ち(私が仮魔王なのだが)で来たんだけど、



デッカぁ……。



立派な塀。おどろおどろしいが精巧且つ美しい壁の彫刻。黒光りする門。


どうしよう。


見習い勇者レベル1で装備が『皮のよろい』から、いきなりトラップか何かでステージ吹っ飛ばして、


裏ルートで魔王城に来ちゃったような…そんな気分だ。



勇者、よく戦う気萎えなかったな。賞賛に値するよ。



「ご帰還ですか、ランスロット閣下」


「ご無事で何よりです」


「ああ」



ひぇぇぇ、門番の人の時点でマジ怖だよぅ、悪魔の羽があるよぅ。


びくびくしながらランスさんの後ろに隠れていると、門番の人が私を見た。


そして、みるみる目を丸くする。



「な…なんと…黒髪に黒瞳…!


それでは、貴女が、魔王陛下ですか…!」