「おめでとうございます。あなたの前世は中世の女王様です」


「えっ、私女王様!?やったぁ嬉しい!」


「愛美、あのねぇ…」



駅前の広場。


紫色の水晶に手をかざした占い師は、妖しげにに笑いながら私…一ノ瀬愛美(イチノセマナミ)にそう告げた。


紫色の水晶は中がふわふわと光り、神秘的な雰囲気を醸し出している。


私は今まで、占い師に前世占いをしてもらっている最中だったのだ。ちなみに料金は1000円。


やだ、前世は中世の女王様だって、私。


ちょっと嬉しいかも。



「ねえ愛美、もう帰らない?どう考えても、この占い師かなり胡散臭いわよ」


「まあまあ、美咲(ミサキ)先輩。もしそうでも騙されたわけじゃないし!」


「つきましては、来世のための運気を上げるストラップを1500円でどうでしょう」


「買いますッ」


「待てい!!」



剣道部一の美少女、美咲先輩が私の腕を引っ張る。


高校2年にして、インターハイベスト4を飾った美咲先輩の腕力はハンパではなく、


身を乗り出した私はあっさり椅子に引き戻されてしまった。