「やっと終わった...」

本日分の追課題を終わらせ、汗ばんだ体を労わるように伸びをする。

「いまから何しようか...」

延々と課題をしたいわけでは決してないが、部活にも所属してない僕は今から行くあてもなく、家に帰っても特にすることは無いのである。

一刻も早くガランとした熱のこもった教室を出たい僕は、帰り支度を済ませ教室を出た。

廊下に出て鍵をかけるとほぼ同時に隣の教室から人が出てくるのが見えた。

「うお!僕以外にも追課題受けてる人いるんだ!」

思わず口から出てしまった。

「国語で赤点とっちゃって...」

恥ずかしそうに下を向く小柄な少女は、上崎 咲(うえざき さき)
このご時世にメガネにおさげという非常に稀なタイプの子だ。

「上崎さんでも赤点とかとっちゃったりするんだ。なんか意外だな。」

「私...そんなに頭良くないよ?」

意外だ、人は見かけによらないとはよく言ったものだ。

「僕も全然ダメだよ...特に数学、どうもこいつとは相容れられない。」

「数学っ!」

その容姿から出たとは思えない調子高い声が蒸し暑い廊下に響く。

「数学楽しいのに!なんで!?勿体無いよ!?」

どうやら僕とは脳の作りが違うようだ。
使用用途のわからない作業を繰り返すことが楽しいと思う日は僕にはきっと来n..........

暑い。

「とりあえず、学校出よう。」