外に出ると、校門は乗り越えられないくらい高くなっていて上には有刺鉄線が張り巡らされている。校門を乗り越えるのは難しいか……
次は焼却炉近く。元から小さい焼却炉は二個あったけど、大きい焼却炉が一個増えていた。中を見てみる。

「うわああ!」

驚いて飛び上がってしまう。中には人がいたのだ。

「よかった……生きてる……びっくりした……」

「こっちは先輩の声でびっくりしましたよ」

一年生の男子が3人。眼鏡を掛けている痩せた子と、おどおどしているまだ小学生と言っても通用しそうなくらい小柄な子と苛立っているのか焼却炉を叩く子。

「あなたたちは何でここにいるの?」

「脱出しようとしたところを捕まったんです。罰として殴られた後ここに入れられました。夜まで出られないんです」

眼鏡を掛けた子が答えた。

「そうか……あの……出来ればそこから出た後、脱出しようとしたときのこと教えてくれないかな?」

「良いけど……どうなっても知らんからな」

焼却炉を叩いていた男の子が言う。

「そんなの覚悟の上だよ。だって、妹の誕生日を出来るだけ早く祝いたいし……」

「だったら今日の内に祝っておいた方がいい。明日から、誕生日を祝うことが禁止されるからな」

誕生日を祝うことが禁止される!?本当にあいつはどうかしている!

「何でそんなことを……」

「愚民の誕生なんか祝う必要ないからって言ったんです!その代わり、自分の誕生日は盛大にと……」

おどおどしている子が答えた。愚民だと……?愚かなのはそっちだろうが……

いろいろ教えてくれた三人にお礼を言って、別の焼却炉に持って行った。焼却炉の近くにタンポポやヒメオドリコソウが咲いていたので、それを摘んだ。戻った後、自分のノートを破って手紙を書く。それを見つからないようハンカチや服で隠して妹のところへ向かった。