「んんっ……ぁっ❢❢」


あんたら、仮にも教師だろう……

それを見たのが
あたしでよかったな❢❢

委員会で帰るのが遅くなった
ある日の放課後、あたしは
船見先生と水無瀬先生が
数学教官室でヤってるところを目撃した。

おいおい、此処が学校だと
わかってるだろうが……

あぁ、水無瀬先生は確信犯か。

ドSな俺様だもんな。

二人はあたしにまったく気付かない。

放課後とはいえ、他の教師達も
何人か残っているだろうし
こんなところを見られたくないだろう。

特に船見先生は。

はぁ~仕方ない。

あたしは少し開いている
教官室のドアを叩いた。

その音に気付いたのか
船見先生の甘い啼き声が止んだ。

『先生達さ、此所学校だから』

つかつかと二人の傍に行く。

「ふ、福津さん!?」

予想通りの反応が返ってきた(笑)

「お前、まだ残ってたのか」

水無瀬先生はニヤリと笑った。

やっぱり確信犯だ。

『委員会があったんで』

あたしと水無瀬先生は
坦々と話している。

『ヤるのはいいけどさ
流石に教官室は
やめた方がいいと思う。

船見先生の甘い啼き声が
廊下まで漏れてた』

教官室のドアが少し
開いてたのもあるが。

「福津はこの状況に動じないな」

まぁ、あたし自身がバイだし。

『兄貴がゲイだから』

そう、九つ上の兄貴はゲイだ。

「だから教官室は嫌だって
言ったじゃないですか❢❢」

なるほど、
水無瀬先生に抗議はしたんだ(苦笑)

あたし達が話している間に
船見先生は身だしなみを整えたみたいだ。

『まぁまぁ、船見先生落ち着いて』

水無瀬先生から守るように
船見先生を引き寄せた(笑)

『二人はそういう関係なんだよね?』

セフレってのもありだけど
二人の雰囲気は紛れもなく恋人だ。

「//////」

へぇ~船見先生カワイイな。

見た目も綺麗だけど
中身も無垢っぽい。

水無瀬先生はイケメンだけど
いかにも腹黒ドSって感じだよな。

「それより、お前、帰んなくていいのか?」

教官室の時計は五時半を指していた。

ヤバっ、今日は兄貴の店で
バイトの日だった❢❢

『先生達、駅の近くにある
【Cachette secrète】ってバー知ってる?』

兄貴がやってる所謂ゲイバーだ。

「何でその店
知ってるんですか!?」

知ってたんだ。

『兄貴の店だから。

ついでに、そこでバイトしてるから』

そう言うと二人は硬直した。

マジでヤバい。

『先生達じゃね~

あたし
今からバイトだから』

○。○。○。○。○。○。○。○。○。○。○。○。○。

あれから二時間。

あたしは急いで帰り着替えて
兄貴の店に向かい
バイトの真っ最中。

『いらっしゃいって
あたしの店じゃないけど』

お客の一人と話ながら
カクテルを飲んでいると
先生達が入って来た。

酒を置いて二人を案内する。

『お決まりになりましたら
声をおかけください』

バイト仕様の敬語で話し
カウンターの中に戻る。

『芙美乃、あの二人と知り合いか?』

常連なのか?

『うちの学校の教師だよ』

来ればと言ったのは
あたしだし、
本当にあたしがバイトしてるのか
確かめに来たんだろう。

『酒、大丈夫か?』

あの二人が教師だと
言ったから心配してるんだな。

『大丈夫だよ』

船見先生は
身体に良くないとか言って
心配してくれるだろうけど
水無瀬先生は気にしないだろう。