「落ちついたか?」

志皇の声をきいて、気づくと目からポロポロと涙が落ちていた。

カフェオレのホイップは溶けてなくなり、ホットミルクが隣に置かれていた。

(やさしい・・・)

「ごめん」

「いや、こっちこそごめん。いきなり会いに来て、驚かせて悪かったよ」

瞳は下を向いたまま頭を振る。

(そんなことない、志皇が来てくれなかったら、私ずっと航にとらわれていた)

「どうして私を?何で?」

わかってしまうことでも、志皇の口からききたかった。

「瞳に会いたかったんだ」

真剣な眼差しが瞳の目にうつる。

「航と付き合ってるって思ってたからさ、一応遠慮してたさ」

学部のときに3人でつるんでたのは、お前が中心だったからだよ、
と言って笑う。
志皇と航はそんなに深い付き合いではなかったようだ。

「瞳もいい歳だし、航以外でも、そういう相手がいるかもしれない、
ある日そう思ったら居ても立っても居られなくなったんだ」


「本当に、私を?」

「シュシュの中を見てわかりませんか?」

輝くダイヤがついた指輪は婚約指輪に違いない。



「好きなんだ、瞳」

瞳は顔が真っ赤になるのがわかった。