「きぃ」

「……」

「きぃってば」




放課後の廊下。


スタスタと歩く私の後ろには、彼氏の橋本風磨 (ハシモト フウマ) が付いてくる。




「ごめんって!俺が悪かったから」

「知らない。橋本のバカ」

「きぃちゃーん。許してよー」



無駄にイケメンのくせに、こんな可愛くもない私を必死に追いかける絵面は明らかに周りから見たら不自然だろう。




それでも、この光景は私たち2学年の中ではもう恒例化してきているらしい。




「うわ、またやってるよ」

「あはは。橋本くん今度は何したんだろーね?」

「毎回毎回よくやるよ、あいつら」



まぁ、最近特にこんな声を聞くからその噂も嘘ではないと思うんだけど。