天野くんには一番最初に言いたかった。
でも・・・私と彼の関係は、“仕事上の”パートナーであって、私生活までパートナーじゃないから・・・。
だから逆に、言いたくもなかった。
できることなら、このままずっと隠し通していたい、彼だけには知られたくないと、何度思ったことか。

あぁ、なんで私、ガンになっちゃったんだろう。
なんで私が・・・。

いくら考えても答えが出ないことをまた考えながら、私はハァとため息をついた。

病気とは言っても、本当にすぐ治るようなものなら、別に誰に言っても差し支えはない。
でもガンという病気は、恐らく死ぬまでつき合わなければいけないような、長い目で見なければならないものだと思う。
今は本当に自覚症状もなく、ピンピン元気でも、「ガンです」と告げられたその瞬間から、死ぬ恐怖に心が押しつぶされそうになってしまう時がある。
そんな気持ちを味わうのは、私一人で十分。
なのに、岡部編集長や天野くんにも共有させてしまうことは、本当に申し訳ないと思ってる。
同時に、やっぱり嫌だと思う時もある。