「・・・残念ながら・・・」
「・・・・・・ぇ?」

生きていると「まさか」と思うことに遭遇することは、ままある。
でも、なんで私が・・・?
どうして・・・??

「一刻も早く手術をすることを強く勧めます」
「で、でもそんな、急に言われても、わたしには仕事があって。すごくやりがいを感じてて・・・好きなんです。だからこんな形で辞めたくない・・」
「そのお気持ちはよく分かります。でもね、笹川(ささがわ)さん」と医者は言うと、膝の上で握りしめてる私の手に、自分の手をそっと重ね置いた。

それで私は、自分が・・・少なくとも自分の両手は震えていることに気がついた。
これはきっと、突然がん宣告を受けてしまった身体的なショックの表れに違いない。
精神的にはまだ・・・いろいろ追いついてない感じ?

とにかく今はパニック状態で、頭の中はパンク寸前で・・・何も考えられない。