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朝。

久々に気持ち良く目が覚めた。

まだ少しボーッとしているが、昨日の
ことをゆっくり思い出す。


(実を言うと、
体を起こすのが面倒なだけなのだが。)


思い出すうち、

よくもまあ昨日仮眠を摂ったというのに
寝れたものだ、と我ながらあきれた。



はあ、初日の朝の予定が把握しているだけ
でも恐ろしいなんて……。



フォスター社の社長が新しく就任すると
発表ための記者会見、

フォスター社の現在置かれている
状況把握、

その他大勢への挨拶……


あぁ、もうすでに嫌だ。


だが、せっかく私が当主に
なったというのに、これをしない訳にも
いかないだろう。


後はお父様とお母様の遺品を
その…なんだ、物置ごと燃やす指示。


屋敷の模様替えの指示。



……まあ、どれも辛い思いをするのは
使用人なんだがな。


(この時代、身分は絶対なんだから、
人権はない。

使用人を雇っている私が何をしようと
勝手だろう?)


ーートントン



「失礼いたします。」



ーーガチャ



「おや、起きておられましたか。」



私がそろそろ起き上がろうと目をしっかり
覚ましたとき、シリウスがドアを開けた。



「……今何時だ?」



「ほんの少し起き上がれば時計を
見れますのに。

……午前7:12:05です。」