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私とシリウスは屋敷にもどった。

誰もいない。


いつもと変わらないはずなのに、
所々ほこりがある。



場所によってはガラスが割れていたり、
棚が壊されていたりしていた。



襲撃の時のままなのだろう。



私が使用人なら
とてもじゃないが手をつけられん。



「あっけないな。」



ポツリと私は呟いた。



「なにがでしょう?」



シリウスが余裕げに聞いてくる。



「…あれほどの襲撃が、
まるで昨日の事のようなのに、

今ではただの空き家、
といってもおかしくない。」



「現在この家の所有者は、お嬢様のおばに
当たられる、

エマ・ヴェアズリー(Emma・Veazuri)様
です。」



なんでそんな個人情報知ってるんだ…。



「使用人共は無事か?」



「ええ。
まだこちらで働いていますよ?」



まだ働いていると言うのにこの掃除の
仕方はなんだ!?


不器用では済まされん。

埃が舞っているし庭も手入れが行き届いていない。


彼らはフォスター家の誇りを守らずに埃を家中に舞わせているのかと思うと本当に
情けなくなった。


元々掃除・洗濯・食事が苦手なものの
集まりだったがこれは酷い。