『煌暉くん、貰って頂けますか?』



私は煌暉くんの部屋で、いつもの場所に座り、その隣に座っている煌暉くんへ、バレンタインデーのチョコが入った小箱を差し出した。



「サンキュ。もしかして、紫音の手作り?」

『一応……
お口に合うか、わかりませんが……』



私のその返答に、煌暉くんが微笑みながら、それを受け取ってくれて、



「料理ってマメにすんの?」



続けて、そう聞いてきた。



『お菓子作りなら、たまに』

「俺、貰ったことないよ?」

『……………』



また聞き返されて、その返答に困った私は、つい黙ってしまった。


でも、



「あーー…味見って言ってるうちに無くなるパターン?
でもこれは、そうならないように頑張ってくれたんだ」



私が答えれなかったことを、当たり前かのように見抜いて、さらにその笑みを煌暉くんは深めた。



(何でわかっちゃうの……)