朝からよく晴れていた休日の夕刻。
私は煌暉くんと一緒に、日頃から学校の帰りによく利用しているカフェに訪れていた。


「足、疲れてねぇか?」


席に案内され、私が椅子に座ったところで煌暉くんがそう聞いてくれるのは、今日はいつもより随分早くに待ち合わせた朝から煌暉くんが私をいろんな場所へ連れて行ってくれてたくさん歩いたから。

でも、たくさん歩いたからと言っても、その場所その場所でそこにとどまる時間が長かったから、その足への負担がかかるなんてことは無かった。


『大丈夫ですよ。煌暉くんは平気ですか?』
「俺も大丈夫。いろんなとこ連れ回して悪かったな」
『どうして謝るんですか?私はとても充実した一日で楽しかったですよ』
「そぉ?ならいいけど。…………紫音さ、」
『はい?』
「いや………」

煌暉くんが何か言いかけたように思うけど、その先を続けることはなくて、代わりに苦笑した顔を見せてくる。

『?』

その様子に私は首を傾げてみるけど、

「どの場所が楽しかった?」

その顔はすぐにその言葉とともに優しい微笑みに塗り替えられた。