"bonheur a vous"(ボヌール ア ヴ)


間接照明に照らされた文字を横目に、俺はその名の店のドアを開いた。

そこにはすでに穏やかな音色の旋律が店内を巡り、なぜかそれに合わせて甘い声音までもがしっとりと揺れていた。

その二つの音源ともなる場所にいたのは、どう見ても“地上に舞い降りた天使”…いや“地上に降り立った女神”そのもの…俺の彼女の紫音がそこにいた。

一見別人だけど、俺が間違えるはずない。
どんな紫音でも、自分の心の目がそう伝えてくるから。

その見た目は、腰までかかる金髪と瞳の色はアイスブルーで、オフホワイトのカクテルドレスは身体のラインが強調されていて…薄化粧も施されているからか、清楚さに色香が全身を包んでいる。

だからどう間違っても、その女神が実は“14才”だという風には見えなかった。



"………ヤバすぎだろ……"



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