「私とですか?」


「でもね… 

うちの後継者の嫁となればそれなりの方を」

と、拓海のお母さんは言う。


「ご心配なく! 子供の頃の約束ですから!

私、そんな子供の頃の話で

拓海さんに結婚を迫ったりしませんから!!」


私が少し強い口調で言うと拓海のお母さんは慌てる。

「誤解しないで違うのよ!?

私が言いたいのは家柄とかそう言うのでは無くて、

人として素敵な人をお嫁にさんに迎えたいのよ?

拓海の話や佐方さんのお話を聞いて

主人は貴方をとても気に入ったみたい。

私も未來さんに凄く興味を持ったの

それで今日は大切な日と言う拓海に

無理を言ってあなたに合わせてもらったのよ?」


「大切な日?」


「そうあれからちょうど10年になる」

と、拓海が私を見て言う。


「でも…」


「今日、あなたに会えて良かった。

素直で人の気持ちがよくわかる人だわ。

未來さんならうちのお嫁さんに迎えても

なにも問題もないわ。

私からも拓海を支えて欲しいとお願いします」


拓海のお母さんは私に頭を下げた。