拓海は暫く車を走らせると

誰もが知る高級ブランドショップの前に車を止めた。

拓海は助手席のドアを開けると

私に降りるように言う。


なに? どうするの?


ショップのドアを白い手袋をした

男性店員に開けてもらう。

拓海は私の手を引くとショップに入って行く。


「いらっしゃいませ。

久我さまお待ちしておりました」


上質のスーツを着た若い男性店員に

拓海は車の鍵を渡す。

男性店員は鍵を受け取ると

一礼し店を出て行った。


お店の人に車の鍵を渡してどうするの?


高級ブランドショップになど来たことのない私は

何が何だか分からず呆けていた。

お店の中は女性物の洋服が沢山並んでいる。

シックな物から色鮮やかな物。

カラーごとに分けられインテリアの様に置かれた洋服達。

奥にはシックなドレスから色鮮やかなパーティードレスもある。