蓮は妹の事を溺愛していた。

親父さんが亡くなって

自分が父親代わりに母と妹を守らなくてはと

進む筈だった大学も諦め

母親を早く楽にさせる為にと

働きながら美容師の専門学校生へ

進むと言った。

俺は両親に敷かれたレールの上を歩くのが嫌だった

ただそれだけの理由で

俺も蓮と同じ道へ進んだ。

俺は蓮と違い美容師を選んだものの

適当に人生を楽しみたかった。

あの時も未來が俺に

『大きくなったらタク兄のお嫁さんにしてくれる?』

『いい女になったらな?』

『うん! 絶対いい女になるから約束だよ!』

『10年経ってミーがいい女になっていたら

迎えに来るよ!

その時は俺がミーの髪を切ってやる』

とその時は適当に約束して居た。

だか、

蓮が未來の話をする度に未來が可愛く思えて

蓮が写真を見せてくれる度に

未來は可愛くなって

そして綺麗になって行った。

未來に彼氏が出来るだけで蓮は騒ぎ

未來のデートを阻止していた。

こいつはアホか!?

未來が結婚したいと

男を連れて来たらどうするんだ?

蓮は相手の男を殺すんじゃないのか?

俺は初めこそ呆れていたが

次第に俺まで未來を

他の男に渡したく無くなった。