夜が明ける前から、城の中はパーティーの準備で騒がしくなっていた。

騒がしいのもあるけれど、こんなぐちゃぐちゃな気持ちで寝られず、結局朝になってしまった。

のそりと起きて鏡を見ると、目は充血し腫れて、顔も浮腫んいる。

泣きすぎてしまった結果だ。



「ひどい顔・・・」

パーティーは午後からだけど、それまでに顔の腫れが引くだろうか。

本当はこんな状態で出たくはない。こんな気持ちで人前に出たくはない。
ずっとこのまま部屋に引きこもっていたい。

でも、出なくちゃいけない。


「・・・しっかりしろ、自分」

ぱん!と両頬を叩く。

これは、『お仕事』よ。

大人なんだから、気持ちを切り替えてしっかりやらなきゃ。


式典が午前中に城下街の大聖堂で行われるため、早くから王達は出払っているらしく、一人での朝食だった。

朝食を済ませた後、慌しく準備に入る。

といっても私はただされるがままにいるだけで、イザベラをはじめ何人かの待女がやってくれた。

気を利かせてイザベラは、泣きはらしたひどい顔がわからないように化粧を施してくれた。


「ありがとう、イザベラさん。あんなひどい顔だったのに。化粧でなんとかなるものね」

とはいっても、目の充血だけは誤魔化せない。
パーティーまでに治ればいいけど。

「あまり寝ていらっしゃらないのでしょう?無理なさらないで下さい。体調が宜しくなかったらすぐ殿下に仰る様にして下さいね」

「うん・・・大丈夫よ。ありがとう」