――どのくらい寝ていたのだろう。



目の前がいきなり明るくなったように感じて、私は目を開けた。

やけに眩しく感じて目を細める。

が、見慣れない天井に大きく目を見開いた。


それは今まで生活していて、実際に見たことのない天井。

とても綺麗な彫刻が施されている。


世界史の教科書で見るような中世の絵画のような、そんな感じの彫刻だ。

「・・・なにこれ?」


まだ夢の中?

・・・でも匂いも、聞こえてくるものも、全てハッキリと感じることができる。


不思議な匂い。人工的な香りではない。

自然なものなのに、嗅いだことがない香り。


そしていつもうるさいと感じる車や機械の音が、一切聞こえない。


どうやら私はベッドで寝かされているようだ。

ふかふかしていて、自分の家のベッドに比べたら何百倍も寝心地がいい。


私はゆっくりと上半身を起こした。


頭を左右に動かして辺りを見るけど、目に映るもの全て、普段お目に掛かれないようなものばかりが置いてある。

装飾が施された家具、壁に飾られたアンティークな絵画や骨董品。


触るのも憚れるような高価なものがあちこちにあって、身がすくんでしまいそう。


「ここ・・・どこ・・・?」


寝すぎたせいなのか、それとも現実離れした部屋にいるせいか。

私の頭は思っている以上に働いていない。