合コンの約束をした日、久しぶりに『フェリチータ』が開店した。



「ありがとうございましたー!」



閉店直前まで、店内はお客さんであふれていた。



「凛!これ、2番札の人の持ち帰り分!渡してくれ。」

「はい、瑞希お兄ちゃん!」




ラストスパートをかける瑞希お兄ちゃんに、私も足並みをそろえる。



「お待たせしました!」

「ありがとう、凛ちゃん。」

「いつもありがとうございます。」

「いいよ、瑞希君。ここのコーヒーは消費者に優しい。」

「体にも優しいからね。」

「ありがとうございます。」



なごやかな常連客に、瑞希お兄ちゃんがお礼を言う。


安い値段と安全商品ということで、お客さんも多い。

日付が変わったと言うのに、人は途切れなかった。

久しぶりに見る瑞希お兄ちゃんに、お客さん達の話しもつきないからだ。



「瑞希、やっとお店を開けてくれたからね~最近、忙しかったの?」

「すみません。夜店の準備もあって。」

「本当に!?今年もお祭りに出るの!?」

「じゃあ、買いに行かなきゃね~」



瑞希お兄ちゃんの言葉に、常連のお客さんが喜ぶ。



「瑞希君のコーヒー美味しいもんね~」

「久しぶりだと、格別だよね~」



お客さんが来るのも、美味しいコーヒーのおかげ。



「瑞希君、今日も可愛かったわ~」

「癒されたよね~」



店主である瑞希お兄ちゃんの仁徳もあり。




「凛ちゃん、可愛いよね~!」

「ちょこちょこ動いてて、思わず触りたくなっちゃう~!」

「頭撫でちゃったー!」

「ほっぺ、プ二プ二しちゃったよ~」



(そして私は・・・・・・・・どうなんだろう。)



可愛いというのは、『男』としてってことになるよね?

それなのに頭撫でるとか、完全に『動物』扱いだよね?



「いや~凛がいると、女性客増えるぜ。年下との男の子は、癒されるらしいからよ?」

「そ、そうですか・・・」


瑞希お兄ちゃんが褒めてくれるからいいけど、私女の子なんだけどな・・

言えないけど、本当は女子なんだけどなぁ・・・


(複雑だわ・・・・)



〔★素直に喜べない★〕