期末テストも終わり、学校全体は解放感であふれていた。




「夏休み、どこ行く~」

「海は外せないでしょう!?」

「新しい水着、買ったんだよね~」

「みんなで遊びに行こうよ!」

「じゃあさ、じゃあさ!俺らとバーベキューしない!?」

「え~?どうしよっかなぁ~」

「夜は花火もあるんだぜ!?」

「じゃあ、決まり!」

「よっしゃ!いつにする~!?」




解放的になった男女が、楽しそうに会話している。

そんな時でさえ、話題に出る。





「こういう時~友達がいない人は、引きこもるしかないよねぇ~」


「そうそう!イニシャルは、R・Sさん?」

「あはははは!やめろよ、女子~!」


(それがやめてやれって顔か、ブ男。)





私への嫌味に、顔をうつ向かせながらスルーした。

冷めた心で、傷ついたような顔を『作って』教室を出る。

演技で落ち込んでいるふりをしているが、平気なわけじゃない。

クラスメートじゃない人達からも、毎日悪口を言われる。




(噂をすれば、私をトイレに閉じ込めたメス共が・・・!)





そのうちの1人と目が合う。




「てかさ、絶対、あのバーがいいって?」

「夏だけ、JK立ち入りOKってマジなの?」

「良い男、いるかなぁ~!逆なんもありだよねぇー?」




久々に、スルーされた。

どうやら、今日ばかりは自分の楽しみを優先にしているようだ。

友達同士、恋人同士で、これから始まる夏休みの計画を話している。

私にからむことなく、男女関係なく、わきあいあいと話していた。





(はぁ~久しぶりの平和!これがいつまで続くことやら・・・)





ホッとしながら、1人廊下を歩く。

下駄箱へ続く校舎は、夏の日差しが照り付け、とてもまぶしかった。